「治験」というボランティア

薬は人類共通の財産であり、数多くの方が病から救われてきました。

海外で開発された薬が日本で使われたり、逆に日本で開発された薬が全世界で使われるようになってきました。

しかし今もなお、治らない病気も多く、新しいくすりの開発が期待されています。
くすりの開発のためには、研究者や医師だけでなく、患者さまの理解と協力が必要です。
現在使われているくすりも、多くの人のご好意により誕生したものなのです。

私たちが使う薬は、すべて厚生労働省の認可を得て販売されています。

新薬を開発するには薬の効果・効能を測定したり、安全性に関するデータを収集することが必要で、
その臨床試験を「治験」と呼んでいます。

治験では、薬の候補となる物質を実際に健康な人や患者さんが使用して、
その効果や安全性、副作用を確かめるわけです。

治験について、人体実験のような怖いイメージを持っている方がいるかもしれません。

しかし、実際の治験は、万が一事故や予測できない副作用が発生した場合にもスピーディーに発見、治療できるよう、
専門の医療機関で細心の注意を払って実施されています。専門の医師が診察を行い、
治験コーディネーターが被験者の日々の通院や問い合わせに対応して、どんな質問や心配にもきちんと答えてくれます。

何かあればいつでも医療機関と連絡が取れる体制が組まれますので、ご安心ください。

でも、「いったん治験が開始されたら、やめたくなっても簡単にやめるとは言えないのでは?」と心配な方もいるでしょう。
治験は、あくまでも被験者の同意のもとに行われるものです。被験者本人が希望すれば、治験の中止や、
元の治療方法に戻すこともできるよう、法律で決められています。

ところで、治験に参加する被験者は「治験ボランティア」とか「治験アルバイト」と呼ばれています。
ボランティアとアルバイトではまったくイメージが違いますが、実際はどちらが正しいと思いますか? 

治験では、医療機関までの交通費と拘束時間に応じて負担軽減費が支払われますが、労働で得る報酬とは本質的に異なるため、
あくまで社会貢献の意味で「創薬ボランティア」や「治験ボランティア」といった呼び方が適切です。

手軽なモニターも募集

最近では治験の募集をする際、一緒に美容関連のモニターや健康食品のモニター募集も行うところが増えています。

治験は、1ヶ月から長くて数年かかるものもあり、通院回数も比較的多いため参加できる方が限られています。
一方、美容関連・健康食品モニターは、数週間から長くても半年ほどの短期間のものが多くなっています。
通院回数も治験に比べて少ないため、時間のない社会人や主婦の方に人気があります。

美容関連のモニターで多いのは、化粧品の新商品を1ヶ月から半年ほどの期間、実際に使ってみるというものです。
使用感をはじめ、美肌効果・保湿効果の測定、肌荒れなどの副作用の検証、さらにはパッケージや使いやすさを消費者目線で評価するなどの内容です。

健康食品のモニターも同様で、ダイエット効果を目的とした食品や、健康を維持・促進するためのドリンクやサプリメントなどを試供し、
使用前と使用後のデータをとるなどします。

どちらも治験ボランティアに近い募集形態ではありますが、美容目的の化粧品や栄養改善の期待が目的の健康食品は、
病気の治療を目的とする薬とは性質が違うため、法律上で区分が異なります。そのため、美容・健康食品のモニター試験は治験とは呼ばないのです。

美容・健康食品モニターは、決められた期間、商品を使用してレビューを書くだけという手軽さで、
自宅にいながらできるものも多いため、たいへん人気があります。治験ボランティアと並んで募集されている場合が多いので、
興味のある方は一度ご覧になることをおすすめします。