どんな病気?

唾液の分泌が低下して口の中が乾燥した状態。歯科口腔外科では口腔乾燥症という病名がつくが、歯科医の間でも認知度が低く、診断や治療が受けられずに悩む人が多い。口の中が乾燥すると、舌がヒリヒリと痛み、食べ物がうまく飲み込めない、ろれつがまわらなくなって会話がスムーズにできなくなるなど、日常生活にさまざまな支障をきたす。唾液には、食べ物を消化する働きのほかに、抗菌作用、自浄作用もあるため、分泌が低下すると、口臭がひどくなったり、虫歯になりやすくなるなどの影響もある。
唾液の分泌量は年齢とともに減るものの、ストレスやよく噛まない食生活を続けた結果、減ってくる場合や、薬(おもに向精神薬)の副作用として現れることもある。また、糖尿病や女性に多いシェーグレン症候群という自己免疫疾患が背景にある場合もある。

検査・診断

検査、治療は歯科口腔外科で行う。口腔乾燥外来を設けている病院もある。まず唾液分泌の状態を調べるために、ガムテスト(味のないガム状のものを5分間噛んで、出てきた唾液を目盛りのついたシリンダーにためる)を実施。その結果、10ml以下の場合は唾液分泌が不十分とされる。さらに、唾液腺シンチグラフィーといって、唾液腺の機能を調べるレントゲン検査を行う。この検査では、唾液が唾液腺にたまる様子や、口の中に流れ出す様子が観察できるので、どの段階に異常があるのかが一目でわかる。これら2つの検査で異常が現れた場合には、シェーグレン症候群を疑って、さらに血液検査、眼科での涙の分泌量の検査、唇の中にある唾液腺をとって調べる口唇生検を追加。血液検査、病理検査(口唇生検)、口腔検査(ガムテスト、唾液腺シンチグラフィまたは造影検査)、眼科検査のうち2項目で異常が出れば、シェーグレン症候群と診断される。

治療

治療法は、ドライマウスの原因によって異なる。シェーグレン症候群の場合には、塩酸セビメリン(商品名エボザック・サリグレン)という飲み薬を使って、唾液の分泌量を増やす。糖尿病がある場合には、内科で糖尿病の治療を行う。薬の副作用として現れている場合には、処方してくれた医師とよく相談し、薬によるメリット、デメリットをもう一度検討する。
病気が背景にない場合のドライマウスは、対症療法で口の中の乾燥を緩和する。口の中が乾くと舌が摩擦で傷がつきやすいので、傷ついた粘膜を修復する働きのあるうがい薬(アズレン系)を使って、口の中にふくむようにうがいをし、キシリトール入りの保湿ジェルを舌の上や上あごに塗布して乾燥を防ぐ。
このほか、リラックスする時間を作る、入浴時に耳下腺のマッサージをして血行をよくする、シュガーレスのガムを噛んで唾液の分泌を促す、歯ごたえのあるものを食べて顎の筋肉を鍛える―など、日常生活上の工夫も大切。
また、ドライマウスの人は虫歯になりやすいので歯科医院で3ヶ月に1度くらいのペースで歯石の除去や口腔内のチェックを受けるようにするといい。