どんな病気?

肝炎は、肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される病気です。ウイルスやアルコール、自己免疫等の様々な原因がありますが、日本では、ウイルスによる感染が大きな割合を占め、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルス感染による肝炎が多くなっています。

肝炎の種類

A. 急性肝炎 
ウイルスに感染してから数週間から数ヵ月後発症するもの。もしくは、薬剤を初めて投与されてから数週間後に発症するものを言います。症状は、全身倦怠感、食欲不振、黄疸などです。黄疸が出て1週間もすると自覚症状が和らいできますが、なるべく早く血液検査などで肝炎の程度や原因を調べる必要があります。
急性肝炎は入院して安静にしていることが大事です。食欲がない場合は、点滴などで栄養を補い、体力の維持を図ります。急性肝炎の場合、数ヵ月で症状がおさまることが多いです。

B. 慢性肝炎
急性肝炎が治りきらず、6ヶ月以上続いている状態を指して慢性肝炎と言います。肝臓病の中で一番多いのはこの慢性肝炎です。中には肝硬変へ進むこともあります。人により、だるさや食欲不振などの症状を呈しますが、ほとんどの場合、自覚症状に乏しく健診などで偶然見つかるケースが多いようです。
また、慢性肝炎と言われても肝機能が安定している場合は特別な治療は必要ありません。

C. 劇症肝炎 
急性肝炎を起こした患者の中の1%は劇症肝炎を起こすと言われています。初期症状は急性肝炎と同じですが、劇症肝炎の場合は症状が重くなり、意識障害が生じます。劇症肝炎は脳浮腫、感染症、消化管出血、腎障害と言った思い合併症を引き起こすことが多く多臓器不全になると死亡率が70~80%と極めて高くなります。

原因

◆肝炎を引き起こす原因は大きく分けて4つあります。
1. ウイルス性肝炎 A型、B型、C型、D型、E型、G型の6種類。
2. 服用した薬剤が原因で肝臓障害を起こすもの
3. アルコール性肝炎 飲酒によるもの
4. 自己免疫性肝炎 免疫機能の異常により肝障害を起こすもの

◆ウイルス性の肝炎で日本人に多く現れるものはA、B、C、の3種類です。

【A型肝炎】

A型のウイルスによる肝炎です。日本では急性肝炎の40%がA型だと言われています。感染力が強く、衛生状態の悪い地域を訪れた旅行者などが発生源になるケースが増えています。
症状は、2〜6週間の潜伏期間を経て発症。高熱や全身の倦怠感に加え、下痢や食欲不振などの風邪によく似た症状が現れます。その後黄疸が現れ2〜4週間続きます。ほとんどの場合慢性肝炎や劇症肝炎に移行することはありません。1度かかると永久免疫ができ、再感染することがないのも特徴です。
安静にすることで自然に治りますが、食欲がない場合などは入院して点滴によって栄養を補うこともあります。

【B型肝炎】

B型のウイルスによる肝炎です。この肝炎は再感染のない一過性のものと慢性化する恐れのある持続性感染の2種類があります。血液から感染します。感染から1〜6ヶ月の潜伏期間を経て急性肝炎を発症。症状は様々で発熱や黄疸のような典型的な症状の出る人から全く症状の出ない人もいます。幼少期にB型肝炎ウイルスに感染すると免疫が未熟なためウイルスを異物と認識できずに肝炎を発症せず体内にウイルスを保有した状態の持続感染となってしまいます。この状態の人をキャリアと呼びます。キャリアの症状の経過はやがて10代〜30代の間に免疫機構が働き肝炎を発症します。自覚症状はほとんどないか、軽いため、ウイルス排除に至らずキャリアの中の約10%の人が慢性肝炎へ移行します。

【C型肝炎】

C型のウイルスによって起こる肝炎です。B型肝炎のウイルス同様、血液を介して感染します。しかし感染力は弱く、血液に触れたぐらいでは感染しないので母子感染やセックスによる感染の割合は極めて低く、日常生活で感染することはほとんどありません。C型肝炎の感染はそのほとんどが輸血によるものです。
問題なのはC型肝炎の場合、成人になってから感染すると治りにくいという特徴があります。感染者の7~8割が慢性症状へと移行します。さらに、他の肝炎に比べ症状が軽く、発症しても気づかないこともよくあります。
症状は、2〜16週間の潜伏期間を経て発症します。発熱、頭痛、食欲不振や関節痛などの急性肝炎と似た症状が現れますが一般に程度が軽いため放っておかれることも多く、多くの人が慢性肝炎に移行しています。そうなると自然治癒は難しく、慢性肝炎や肝硬変などに症状が進行してしまいます。いずれも自覚症状に乏しく、進行した肝硬変になってから初めて疲れやすい、全身がだるいといった症状が現れてきます。

検査・診断

◆肝臓病は症状が出にくく、検査が非常に重要です。検査は次のような3つの検査があります。
1. 血液をとり成分を調べる
2. 超音波やCTを使って調べる画像診断
3. 肝臓の細胞を採取して調べる肝生検

肝臓病の血液検査では肝細胞に異常がある場合と胆石などで胆汁の流れに異常がある場合のいずれかの原因を突き止めます。
また、肝炎ウイルスの感染が疑われる場合、ウイルスマーカーの検査も行います。

◆検査項目

【血液検査】

GOT(AST) 、GPT(ALT) …肝細胞の破壊によって数値が増加する酵素です。
γ—GTP …肝臓や胆道系の異常で胆汁の流れが悪くなると数値が高くなります。
アルコール性肝障害の場合、著しく上昇します。
ALP …肝臓や胆道系の異常で胆汁の流れが悪くなると数値が高くなります。
LDH …肝細胞が阻害されたり破壊されると数値が上昇します。
ChE …肝細胞の働きが低下すると数値が低くなります。脂肪肝の場合は上昇します。
血清総蛋白 …肝硬変などで肝臓の働きが低下すると、数値も低下します。
A/G比 …肝機能が低下するとアルブミンの値は減少し、グロブリンは増加するために低い値を示します。
ZTT・TTT …血漿蛋白の異常があると高い数値を示します。
血清総コレステロール …肝機能が低下するとコレステロールの量が減少します。
PT(プロトロンビン時間) …血液が凝固するまでの時間です。肝障害があると固まりにくくなるため時間が長くかかります。
血清ビリルビン …肝細胞や胆道に障害があると高い値を示します。
ICG …肝硬変などの障害が進むと肝臓への血流が低下し、数値が高くなります。
血中アンモニア …肝機能の低下により解毒されないアンモニアが血液中に増加すると数値が上昇します。

【画像診断】

肝臓病で行われる検査は超音波、CT、MRIの3つです。
これらの画像診断で肝臓の大きさや形、腫瘍の有無、血管の状態がわかります。

【肝生検】

血液検査や画像診断の進歩により肝生検が必要なケースは減ってきました。
しかし、確定診断を行うときには肝生検が必要になります。

治療

肝炎の治療の基本は安静にしておくことです。急性、慢性いずれの場合もです。食欲がない場合や栄養を十分に取れないときにはブドウ糖を中心とした点滴を行います。しかし、B型やC型肝炎の場合、炎症が治まらず薬による治療が必要になる場合もあります。

薬物治療の種類と特徴

インターフェロン …現在の薬物治療の中で治癒が望める唯一の治療法です。
しかし、この薬は効く人と効かない人があり、治療を開始するための条件が定められています。副作用が多いことも知られています。

グリチルリチン製剤 …この薬の詳しい作用は未だに不明です。抗アレルギー作用、炎症による組織障害の抑制、組織の修復の促進、肝細胞膜の保護などの作用が知られています。炎症を抑えることで肝硬変への進行を食い止めます。

小柴胡湯 …肝臓内部の炎症を抑制し、免疫力を調節します。インターフェロンとの併用で間質性肺炎という重篤な副作用が発生することがわかっています。

ウルソデオキシコール酸 …肝臓を保護し、胆汁の流れを改善する作用があります。免疫調節作用もあると言われています。

低アルブミン血漿改善薬 …腹水や下肢の浮腫が消失し、脳症が改善されます。