どんな病気?

アルコールや肝炎が原因で、肝臓の細胞が破壊されて起こる病気です。肝臓の中に繊維が増え、ゴツゴツし“しこり”のできた硬い臓器に変化します。肝硬変になると肝臓の中の血液循環が正常でなくなり、肝臓本来の働きができなくなります。

◆肝硬変の症状

肝硬変の場合、初期段階で特に症状はありません。肝硬変になって、たくさんの細胞が壊れても、残りの肝細胞がカバーする機能があるからです。症状が出ないこの時期の肝硬変を「代償期肝硬変」といいます。やがて全身倦怠や食欲不振、疲労などの症状が現れ、さらに肝機能が落ちてくると、腹水や黄疸など、他人が見てもわかる症状が出てきます。症状の出てきた肝硬変を「非代償期肝硬変」といいます。

☆非代償期の主な他覚症状

・黄疸
黄疸は、ビルビリンという色素が血液の中に異常に増加して、皮膚や白目が黄色くなる症状です。みかんを食べ過ぎると手のひらが黄色くなることがありますが、これは「柑皮症」といって、白目は黄色くなりません。ビールよりも濃い色の尿が出た
ら、白目をチェックして黄疸かどうか見分けましょう。

・クモ状血管腫
二の腕、胸、肩などに、クモが足を伸ばしたように見える赤い斑紋が現れる症状です。細い血管が拡張した現象で、ちょっと盛り上がって見えますが、実際は盛り上がっているわけではありません。

・女性化乳房
男性の乳房に現れる症状で、乳房だけでなく乳首も大きくなります。女性ホルモンの代謝異常が原因です。

・出血傾向
一旦出血すると、止まりにくくなる傾向があります。血液を固まらせる働きのある血小板の数が低下するためです。健康な人は1ミリ立方メートルの血液中に、およそ20万以上の血小板がありますが、10万以下になると肝硬変の疑いが強くなります。

血小板の現象は肝硬変の進行具合を知るための大事なポイントです。

・腹部静脈の怒張
おへその周囲の静脈が拡張して、お腹の表面にミミズがはった後のように浮き上がって見えます。

原因

肝硬変の65%はC型肝炎から

肝硬変は、お酒の飲み過ぎが原因と思われがちですが、実際にアルコールで肝硬変になる人は少なく、日本では全体の10%くらいです。日本の肝硬変の約65%は、C型肝炎が原因です。

診断

肝臓の硬さを調べる触診や、クモ状血管腫などの皮膚症状をみる視診、腹水の有無などを調べるほか、血液検査、超音波やCT、MRIなどの画像により診断します。腹腔鏡検査を行う場合もあります。

[診断項目]

・問診
自覚症状、飲酒について、輸血などでウイルス性肝炎に感染した可能性があるかなど。

・身体所見
黄疸、クモ状血管腫、腹水の有無を確認する。触診で肝臓がゴツゴツしているかチェックする。

・血液検査
慢性肝炎と肝硬変を鑑別する。肝硬変ではGOTがGPTより高くなるのが一般的。差が大きいほど症状が進行している。

・画像診断
超音波、CT、MRIで診断する。肝臓表面のデコボコ、わずかな腹水も発見できる。

・腹腔鏡検査
腹腔鏡で肝臓の表面を見る。病理学的な診断には肝臓の組織を
採取して調べる「肝生検」を行う。

治療

肝硬変になった肝臓は、元の状態に戻ることはないといわれ、現段階では根本的な治療は難しいのが実情です。そこで肝硬変の治療は、残された肝臓の機能を維持しながら合併症をコントロールし、患者さんのQOL(生活の質)を落とさないように、病気の進行を食止めることが目的になります。
したがって肝硬変の症状が現れる時期(非代償期)の治療は、合併症の治療をすることが主体になりす。主な合併症は、食道静脈瘤、腹水、肝性脳症です。

[主な合併症]

・食道静脈瘤
食道静脈瘤は、自覚症状はこれといって出ないのが普通です。しかし瘤が破裂すると大出血が起こるため、定期的な検査で破裂を防止することが大切です。静脈瘤が赤みを帯びてきたら破裂の危険信号なので、予防のために治療を開始します。
破裂予防の治療には、患部に硬化剤を入れて静脈瘤を固める方法や、静脈瘤を輪ゴムでしばって血流をとめてしまう方法などがあります。

・腹水
腹水が溜まると、見た目にもお腹が出てきたように見えたり、食欲低下や吐き気、息切れなどが起こることもあります。まず水分と塩分を制限し、安静にすることが必要です。さらに利尿剤を使って腹水を排泄し、改善しなければアルブミンを補います。

・肝性脳症
肝臓機能の低下により解毒されなかったアンモニアが、脳に達することにより起こる精神症状です。ぼんやりする、イライラするなどの軽い症状から、昏睡状態まで、いくつかの段階があります。たんぱく質を1日40gに制限し、ラクツロースという緩
下剤を使って腸内の有害細菌を抑えます。また、アンモニアの産生を促す細菌を殺菌する抗生物質、特殊アミノ酸製剤などを使って治療します。