どんな病気?

過敏性腸症候群(IBS)とは、検査をしても異常がみつからないのに、下痢や便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す症状をいいます。日本人の約10%にみられる症状です。

[過敏性腸症候群(IBS)の症状]

☆下痢型
下痢で1日に何度もトイレに駆け込む。
腹痛や腹部不快感のある慢性的な下痢。

☆便秘型
一般的に女性に多い。
腹痛や腹部不快感のある慢性的な便秘。

☆下痢・便秘交替型
下痢型と便秘型を交互に繰り返す。

そのほか、ガスが溜まる、腹部膨満感、お腹がゴロゴロ鳴るなどの症状もみられます。

原因

過敏性腸症候群(IBS)の症状は、主に強い緊張やストレスによって引き起こされます。会社員であれば出社時、仕事中、会議中、学生であれば登校時、授業中、テスト中などの場面でよく症状が現れます。仕事や学校が休みのとき、また通勤や通学の
場合も、帰社・下校時には症状が出にくいこと、排便すると症状が軽くなることも大きな特徴です。

過敏性腸症候群(IBS)の原因

主に精神的な不安や緊張、ストレスが原因です。それらが自律神経を介して腸に伝達された結果、腸が過敏になって腹部症状を起こすといわれています。

検査・診断

過敏性腸症候群(IBS)の検査で一番重要視されるのは問診です。問診では自覚症状、排便回数や便の状態、いつ頃から症状が出てきたか、食習慣、既往症、ストレスの状況など、さまざまな質問をされます。
いつ、どのような状況で、過敏性腸症候群(IBS)の症状が出てくるのか、自分の症状のパターンを客観的に知って説明できるように、記録をつけておくといいでしょう。

[過敏性腸症候群(IBS)の検査内容]

・問診
自覚症状、生活習慣、食事、ストレスなどの質問に答える。

・便潜血検査
便中の血液の有無を調べる。

・血液検査
血液を採取し、その成分を調べる。

・腹部X線検査
X線(レントゲン)で腹部を撮影し観察する。

・大腸内視鏡検査
内視鏡を肛門から挿入し、腸を観察する。

治療

過敏性腸症候群は、命に関わるような病気ではありませんが、完治することが難しい病気です。治療においては、最大の原因となるストレス発散や気分転換はもちろん、生活習慣の乱れを改善することが大切です。病気と上手く付き合っていくこと
が、気持ちよく日常生活を送る重要なポイントになります。

■生活習慣の改善

・十分な睡眠と休養をとる。
・規則正しい生活を送る。
・バランスのとれた食事を3食きちんと食べる。
・適度な運動をする。
・リラックスできる時間と空間を作る。
・趣味などで気分転換する。

■食事療法
 
過敏性腸症候群(IBS)の人の食事は、1日3回規則正しくとること、バランス良く食べることが大切です。

☆症状パターン別の食事療法
1.下痢型
・冷たいもの、香辛料、脂肪分の多いもの、発酵食品など、腸の粘膜を刺激するものは下痢を悪化させるので避ける。
・消化が悪いものを避ける。

2.便秘型
・香辛料、アルコール、炭酸飲料、脂肪分の多いものなど、刺激物を避ける。
・食物繊維をとる。
・ビタミンB、Cをとる。

3.下痢・便秘交替型
・症状に応じて食べるものを選ぶ。

■薬物療法

☆過敏性腸症候群(IBS)の治療に使う薬
1.消化管機能調節薬
消化管の働きを調節し、過敏な状態をやわらげる。

2.便性状改善薬(ポリカルボフィルカルシウム)
・便の性状を変化させ、便通を整える。
・下痢と便秘の両方に効果がある。下痢の場合は便を固め、便秘の場合は便が固くなるのを防ぐ。

3.対症療法薬
・症状を一時的にやわらげる。下痢の場合は整腸剤、便秘の場合は下剤を使う。

4.抗うつ薬
・気分の落ち込み、抑うつ状態を防ぐ。

5.抗不安薬
・不安や緊張をやわらげる。

■心理療法
過敏性腸症候群(IBS)は、その主な原因がストレスであるように、心理的な問題と深く関わっています。専門の医師に相談したりカウンセリングを受けることで、何がストレスになっているのかが判明し、対処法が見つかる場合もあります。

治療にあたっては、必ず専門医(消化器内科など)にご相談ください。