どんな病気?

子宮の入り口付近の子宮頸部にできるがん。セックスによるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因として有力視されており、若い女性の間で増えている。統計的に喫煙者に多いことがわかっている。
初期には自覚症状がほとんどないが、セックスのあと出血することがある。進行すると、不正出血や、おりものの増加、おりものに血が混じる、悪臭を伴うおりものがでるなどの症状が現れる。さらに進行してがんの範囲が広がると、下腹部痛、腰痛、排尿痛、下痢、血便、血尿などがあらわれる。

検査・診断

初期には自覚症状がほとんどないため、定期検診が早期発見の重要な決め手となる。セックス経験者は誰でもかかる可能性があるので、年に一度くらいのペースで検診を受ける習慣をもちたい。早期発見のために有効な検査は、細胞診(パップスメア)といい、内診台で膣から柄の長い綿棒やヘラ、ブラシなどを挿入して、子宮頸部の内側をこすり、細胞をとって顕微鏡で調べる。痛みもなく、ほんの数分で終わる簡単な検査だ。
30歳以上になると、自治体の子宮がん検診がわずかな自己負担で受けられるが、20代で発生しているので、セックス経験者は早めに検診を受けたほうがよい。もちろん、気になる症状があるときには、迷わず早めに婦人科を受診すべきである。
検査結果はクラス0からクラスⅤに分類され、0とⅠは軽く炎症を起こしただけの状態で、がんではない。Ⅲはややあやしい状態といえるが、この状態からがんに進む人は1割に満たない。クラスⅣになると、がんの進行期の0期に相当するが、子宮を摘出しないでも簡単な手術でほぼ100%完治する。
細胞診でクラスⅢ以上の結果が出た場合には、組織診を行う。これは、コルポスコープという双眼鏡のような器具で子宮の入り口を観察しながら、子宮頸部に酢酸を塗布し、浮かび上がってきた組織を採取して調べる検査。
このほか、X線検査、MRI、CTなどの画像診断を行い、子宮以外の臓器にがんが広がっていないかどうかをチェックし、がんの進行期を調べる。さらに血液検査では腫瘍マーカーの値を調べる。
がんの広がり具合がはっきりしない場合には、円錐切除術といい、子宮頸部を円錐状にくりぬく検査を行う。この結果、切除した範囲内にがんがとどまっていれば、この段階で治療も終わるが、それ以上外側に広がっている場合には子宮を摘出する。

治療

治療法はがんの進行期によって異なる。
(0期、Ⅰaの1期……円錐切除術)
この段階で早期発見されれば、子宮と卵巣を残し、子宮頸部の一部を切除するだけで完治する。手術後の妊娠、出産も可能。円錐切除術は、ループ状のワイヤーを患部にかけて電流を流し、頸部の組織を円錐状に切り取る方法。20分程度で終わる簡単な手術だ。

(0期、Ⅰaの1期で、がんの位置が悪い場合や大きな子宮筋腫を合併して子宮を残すのが難しい場合……単純子宮全摘出術)
早期発見でも、がんの位置が中心から離れていて円錐切除ではとり切れないケースや、大きな子宮筋腫を合併していて子宮を残すのが困難な場合には、「単純子宮全摘術」で子宮だけを切除する。閉経前なら卵巣を残すことが多い。月経はなくなるが、女性ホルモンは手術前と同様に分泌されるため、手術後に急激な更年期障害で苦しむことがない。

(Ⅰaの2期、Ⅰb期、Ⅱ期……広汎子宮全摘出術)
さらにがんが進行すると、子宮、卵巣を全摘出した上、子宮頸部を中心に、周囲の組織やリンパ節まで切除する「広汎子宮全摘術」を行う。手術後には、排尿障害、排便障害、脚のむくみ、更年期障害などさまざまな後遺症が出ることが多い。

(Ⅲ、Ⅳ期……放射線、化学療法)
ここまでがんが進行すると、手術で取り除くことは不可能になり、放射線と化学療法(抗がん剤)での治療となる。放射線療法は、手術後の再発予防、再発、転移した場合の治療にも使われる。また、化学療法を行って、がんの範囲を縮小させてから手術を行う方法も普及しつつある。 放射線の照射中には、吐き気や食欲不振が、照射後には膀胱や直腸からの出血が起こりがち。卵巣に負担がかかり、ホルモンバランスが崩れて更年期障害のような状態になることもある。また、皮膚の表面が軽いやけどをしたような状態になるが、時間の経過とともに元に戻る。化学療法の副作用として、嘔吐や脱毛が起こるが、治療が終われば、毛髪は再び生えてくる。