どんな病気?

糖尿病とは、すい臓から分泌されるインスリン(血糖を調整するホルモン)が不足したり、インスリンの働きが悪くなったときに、血糖値と呼ばれる血液中のブドウ糖濃度が増え、身体にさまざまな障害が起きる病気です。
平成12年に内閣府が実施した、「生活習慣病に関する世論調査」によると、高血圧や脂質異常症に比べ、糖尿病は「怖い病気」と捉える意識が強い、という結果が出ています。
発病の初期は自覚症状がないため、病気と気づかずそのまま放置しがちです。そのため、網膜症や神経障害などの重大な合併症を招き、日常生活行動 (ADL)や生活の質(QOL)の低下を招きます。
一方で、糖尿病は自己管理病ともいわれます。糖尿病と診断されても、血糖値のコントロールができれば普通の健康人と何ら変わりのない生活を送ることができます。

糖尿病は放置しておくと、典型的な自覚症状が現れ、合併症へと確実に進みます。
かかりはじめは軽く考えがちですが、放っておくと怖い病気です。

典型的な自覚症状

・疲れやすい
・尿の量と回数が多くなる
・異常にのどが乾き、水分を多くとる
・体重が急激に減る

合併症

・視力に障害が起きる
・狭心症や脳卒中を引き起こす
・腎臓の機能が悪くなる(末期には腎臓透析)
・手足のしびれが起き、化膿しやすくなる

原因

インスリンの分泌や働きが悪くなると糖尿病になります。

食事をすると、食べ物のブドウ糖やアミノ酸が身体に吸収され、それと同時に、すい臓からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌されます。
インスリンの働きは、食べ物のブドウ糖を筋肉組織に運び、エネルギーとして使われるのを助け、血糖が一定値以上に上昇しないようにしています。
すい臓から分泌されるインスリンの量が減少することによって、筋肉組織に運ばれなかったブドウ糖が血管内に留まり、血糖値を高めてしまいます。
インスリンは正常に分泌されているにもかかわらず、何らかの原因でインスリンが本来の役割を果たさなくなりこともあります。
このように、インスリンの分泌や働きが悪くなると、糖尿病になります。

糖尿病の1型と2型は、インスリンの分泌状態によって分けられます。
1型糖尿病は、インスリンを作る細胞が破壊されインスリンがほとんど作られなくなるもので、小児や若い人に多くみられます。
2型糖尿病は、インスリンの分泌量が少なくなったり、インスリンの働きが悪くなったりするものです。生活習慣が要因と考えられ、特に中高年に多くみられます。日本人の患者さんの95%は2型糖尿病です。
もともとその人が持っている遺伝的体質に加え、インスリンの働きを悪くする日常生活の積み重ねが発症の引き金になります。

1型糖尿病 … 子どもや若年の成人に多く、急激に現れる。治療は、インスリンを使う。
2型糖尿病 … 中高年に多く、ゆっくりと現れる。治療は、食事療法と運動療法から始め、血糖が下がらない場合には薬物療法をとり入れる。

検査・診断

糖尿病の診断は血糖値を目安にします。

血糖値の値は高くても低くても身体に良くありません。
低すぎる血糖値は動悸や手足のふるえ、冷や汗といった低血糖の症状を引き起こします。
逆に数値が高すぎる状態が続いた場合、やがて糖尿病の症状が現れてきます。

診断で行う検査は次のようなものがあります。

■早朝空腹時血糖値…検査前日の夜から10時間以上絶食した状態で朝に測定する検査です。
■75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)…早朝空腹時血糖値の測定後にブドウ糖の液体を飲み2時間後に血糖値を測る検査です。
■随時血糖値…時間を決めずに血糖値を測定するものです。
■HbA1c値…検査当日の1〜2ヶ月前から血糖値を計り、平均を出します。

これらの検査をふまえて、糖尿病の診断を行います。
糖尿病と診断された場合、まず行われるのは血糖値をコントロールするための食事療法です。

治療

糖尿病の治療の柱は食事療法・運動療法・薬物療法の3つ。
中でも食事療法が基本です。初期の糖尿病であれば、医師の指示に従ってきちんと食事療法を行うことで、病気が進行するのを防ぐことができます。

■食事療法

糖尿病の人にとって1番大切なのは、適正体重を保つことです。
まず自身の身長から標準体重を確認し、1日にとるべきエネルギー量を算出します。

・標準体重の計算
身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)
例)身長170センチの人の標準体重は → 1.7×1.7×22=63.6kg

・適正エネルギー量(カロリー)の計算
標準体重×体重1kgあたり必要なエネルギー量(約30kcal)
例)身長170センチの人の適正なエネルギー量は →
 63.6×30=1908kcal
※体重1kgあたりの必要エネルギー量は、およそ25~30kcal程度です
ただし1日の活動内容により変わります。

☆食事療法のポイント
1.適正なエネルギー量(カロリー)の食事をする。
2.栄養バランス(糖質・タンパク質・脂質)に気をつける。
3.ビタミン・ミネラルの補給をしっかりと。
4.規則正しく決まった時間に3食をとる。
5.まとめ食いをしない。

■運動療法

運動療法は食事療法と並んで糖尿病の治療には必要なものです。
日本人の95%を占める2型糖尿病の治療にも欠かせません。
運動療法を行う際は血糖や眼底検査、心電図などのメディカルチェックが必須です。
人によっては運動が病状を悪化させてしまう場合があるからです。医師の指導のもと自分にあった運動を行うことが肝心です。

運動療法は食事療法と並行して行うことで相乗効果があります。
適度な運動を行うと血液中のブドウ糖をエネルギーとして消費するばかりか、インスリンの働きが活発になり血糖値が下がります。

・運動の主な効果
①インスリンを使わずに糖質を利用できる。
②血液の循環を促進する。
③中性脂肪やコレステロールを減らす。
④血圧を下げる。
⑤食事だけの減量で起こりがちな筋肉の衰えや老化を防ぐ。
⑥ストレス解消になる。

☆運動療法のポイント
1.毎日、有酸素運動(ウォーキング、サイクリングなど)を行う。
2.食後1時間以上経ってから行う。
3.運動するときは最低15分以上続ける(10分以内では効果がない)
4.空腹時には運動しない(低血糖を招く危険性があるため)
5.事故防止のために運動の前後に必ずウォーミングアップとクールダウンを行う。

■薬物療法

食事療法と運動療法だけで十分な効果が得られない場合、薬物療法
を開始します。この場合も食事療法と運動療法は続けなければいけません。3つの療法を行って血糖値をコントロールします。