どんな病気?

高血圧症は、合併症が現れるまでに数年から十数年もかかる場合があり、病気だと気がつきにくいのが特徴です。
そのため「サイレントキラー」(沈黙の殺し屋)と呼ばれることもあり、症状が無いからと放置しておくと、ある日突然、動脈硬化や心不全、
脳卒中、腎不全などの合併症が現れる怖い病気です。血圧をコントロールして正常に保つことが大切です。

☆高血圧症の3大合併症
高血圧症とは、血管に血液が通常以上の圧力をかけている状態をいいます。

血管の壁が引き伸ばされて薄くなり、元に戻ろうとする働きで動脈の壁が厚く硬くなります。
そのため脳出血や脳梗塞、心筋梗塞や狭心症、腎不全など命にかかわる病気を発症しやすくなります。

☆高血圧症の種類
大きく分けて2つあります。原因がはっきりしない本態性高血圧症と、ほかの病気が原因となって起こる二次性高血圧症です。
日本人の場合は90%が本態性高血圧症です。

[本態性高血圧症]
原因は不明。主に40歳前後から発症。年齢と共に血圧が徐々に上がるが、2~3年の間に急速に進行することもある。

[二次性高血圧症]
ホルモンの異常、腎臓病、特定の薬の服用等で誘発される。20代~30代で発症。急速に血圧が上がる。

原因

高血圧症は、生活習慣が大きくかかわっています。
不適切な生活習慣を変えるだけで、軽度の高血圧症の場合、改善が期待できます。

  • 1日の塩分摂取量の目標値は10グラム以下。5~6グラムが理想
  • タバコを吸っているならば禁煙する(百害あって一利なし。飲酒と併せて心臓病の危険を高める)
  • 飲酒を適量にする(過度の飲酒は血圧を上げ、少量の飲酒は逆に血圧を下げる)
  • 肥満を解消する(高血圧のほか、高脂血症の原因になる)
  • ストレス、疲労、睡眠不足

検査・診断

血圧の分類

世界保健機構(WHO)の基準によると、140/90mmHg以上が高血圧で、軽症から重症までが3段階に分類れています。
さらに正常の値も3段階に分類され、なかでも「正常高値」は要注意です。

血圧の日内変動

血圧はちょっとしたことで上がったり下がったりします。心臓が鼓動するたびに異なるのが血圧なのです。
1分間の脈拍を仮に70回とした場合、1日に約10万回の血圧値が存在することになります。
携帯式の24時間血圧モニターを使うと、1日の血圧変動のパターンが明らかになり、治療に役立ちます。

[24時間血圧モニター]
・将来の合併症が予測でき予防に役立つ。
・急に立ち上がった時に血圧が急激に低下する起立性低血圧の診断に役立つ。
・服用している薬の効果を確認できるので、早朝の極端な血圧上昇、夜間の血圧の下げ過ぎなど心血管事故を未然に防げる。

こんな症状に注意!
・めまい、耳鳴り
・頭痛、肩こり
・動悸、息切れ、胸の痛み
・むくみ、手足のしびれ

自覚症状の現れにくい高血圧ですが、とても疲れている時などに一時的に症状が出てくる場合があります。
そんな時は、念のため検査を受けた方がよいでしょう。

治療

食事療法・運動療法・薬物療法の3つの治療があります。正常な血圧は130/85mmHgまでなので、これ以上の人は生活習慣の改善から行います。食事療法と運動療法をきちんと行っても血圧が正常値まで下がらない時は、降圧剤を使って薬物療法を行います。その場合でも食事療法と運動療法は引き続き行うことが必要です。

■食事療法

1.食塩の制限→1日10g以下
2.脂質の制限→1日40g以下
3.エネルギー(カロリー)量の制限→1日の適正エネルギー(カロリー)量内

注意点
・塩分の多い食品に気をつける。特に加工食品は塩分が多いので控えめに。
・動物性脂肪をとり過ぎない。
・自分の適性エネルギー量(カロリー)を知ること。

[食品別塩分量]

即席ラーメン 1袋100g 5.3g
塩鮭 1切れ50g 4.0g
たらこ 1腹55g 3.6g
プロセスチーズ 2切れ20g 0.3g
味噌汁 1杯20g 2.5g
いかの塩辛 大さじ1杯20g 2.3g
ハム 1枚20g 0.5g
ちくわ 1/2本30g 0.7g
めざし 2尾30g 1.3g
食パン 1枚60g 0.8g
トマトジュース 1本195g 1.2g
かまぼこ 2切れ40g 1.0g

出典:五訂増補 食品成分表2010(女子栄養大学出版部)より

[1日の適正エネルギー量(カロリー)を計算する]

標準体重×体重1kgあたりの必要エネルギー量(約30kcal)
例)身長170センチの人の適正なエネルギー量は →63.6×30=1908kcal

※体重1kgあたりの必要エネルギー量は、1日の活動の内容によって25~35kcal程度まで幅があります。

■運動療法

1.上の血圧が160mmHg未満、下の血圧が110mmHg未満の軽症の人は食事療法と一緒に行います。
2.降圧剤で治療している人も行います。

注意点
・医師の指示を仰いで行うこと。
・過度の運動は控える。
・持続的に行うこと(運動療法による降圧は運動を中断すると消失するため、長期間にわたって継続的に行う)

■薬物療法
食事療法と運動療法を行っても十分効果が得られない場合に行います。ただし薬物療法では高血圧そのものを治すことはできません。
あくまで血圧を正常に保つためのものなので、基本的には一生続けることが必要です。
頭痛など自覚症状が消えたからと自分の判断で薬をやめるのは、脳卒中などの合併症が起こりやすくなり大変危険です。
必ず医師の判断を仰ぎましょう。