どんな病気?

味覚に何らかの異常が現れる病気で、おもに①味覚減退、味覚消失(味が鈍くなる、まったく味がしない)②自発性異常味覚(何も食べていないのに味がする)③解離性味覚障害(ある特定の味だけわからない)④異味症(本来の味と違った味がする)⑤悪味症(何を食べても嫌な味になる)の5つのパターンがある。もっとも多いのは①で、全体の6~7割を占めている。
味覚に異常がおこると、おいしいものを食べる喜びがなくなってしまうだけでなく、味覚が減退していることに気づかずに塩分をとりすぎて高血圧になる、糖分をとりすぎて糖尿病になる、苦味や酸味がわからないために腐ったものを食べてしまう、など全身の健康にも影響を及ぼしかねない。自然に治る人もいるが、一般には放置すれば、それだけ治療にも時間がかかるので、1~2週間たっても改善されない場合は医療機関へ。

検査・診断

診察は耳鼻咽喉科へ。医療機関によっても異なるが、味覚障害を客観的に診断するために行われる検査は主に2つ。一つは濾紙ディスク検査といって、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つの基本味をそれぞれ5段階の強さで作った味のサンプルを、直径5㎜ほどの小さな濾紙に浸して、舌の上に置き、感じるかどうかをチェックする。これで、どの味覚がどの程度鈍っているのかがわかる。舌の上にステンレス製の器具をのせて弱い電流を流し、感度を調べる電気味覚計を使った検査では、味覚が正常なら、クギをなめたような味を感じる。
味覚障害の原因をさぐるためには、まず問診で食生活の乱れや全身疾患がないかどうかを聞いたあと、それに応じた検査を行う。血液検査では、味覚障害の原因となる亜鉛と鉄の値をチェック。また、ストレスなど心因性の可能性が強そうなときには、心理テストなどをプラス。だ液の分泌が少ないために味覚が鈍くなっている可能性のある人には、だ液の分泌量を調べるガムテストを行う。

治療

味覚異常の原因は大きく分けて6つ。最も多いのは、「薬剤性味覚障害」とよばれ、降圧剤、抗生物質、抗がん剤などを使った結果、亜鉛の吸収が抑制されてしまい、欠乏した結果起こるもの。「特発性味覚障害」といって、検査をしても何の原因も特定できないものもある。「亜鉛欠乏性味覚障害」は、血液検査の結果、亜鉛値の低下がみられるもので、食生活の影響が考えられる。「心因性味覚障害」は、ストレスがたまったり、うつ病の人などに起こるもの。「風味障害」は、嗅覚に異常があって匂いがわからないために味がわからなくなるもの。とくにコーヒー、カレーなど風味を味わうものがわかりにくくなるのが特徴。鼻かぜやアレルギー性鼻炎などでも起こる。「全身疾患性」は、糖尿病などの病気の影響で起こる。 このように、ひと口に、味覚障害といっても原因はさまざまなので、治療を開始する前に、原因を突き止めることが重要だ。考えられる原因を取り除くと同時に、亜鉛の欠乏がみられる場合には、亜鉛製剤を服用する。治療期間は平均3ヶ月くらいが目安。
食生活では、栄養のバランスに気をつけるのが基本だが、より注意したいのは、加工食品のとりすぎ。加工食品や清涼飲料水のほとんどに使われている食品添加物は、亜鉛の吸収を妨げたり排泄を促す作用があるので要注意。味覚障害の原因が薬の場合、どうしても必要な薬なら、亜鉛を多く含む食品(ゴマ、海藻類、貝類、肉など)を積極的にとって予防することも大切だ。