どんな病気?

初期の関節リウマチは、倦怠感、食欲不振、体重減少、発熱といった関節以外の症状がみられます。その後、朝の手足のこわばり、手指関節の炎症が現れ、さらには、全身の関節痛、腫れ、こわばり、しびれなどが現れてきます。
この中の関節痛は、左右対称性(例:右手が痛い場合は、左手も痛くなる)になって現れることも関節リウマチの特徴的な症状の一つです。そして、最終的に関節の変形が起こってきますが、こうなると患者さんは日常生活にも支障が出てきます。
最初は手指の第二・第三関節など小さな関節から腫れたり、こわばったり、痛みが出ることが多いのですが、日本人では特に膝の関節が腫れて痛むケースも多いようです。
また、関節リウマチの症状は、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、時間をかけて少しずつ悪化していくこともわかっています。これらの背景には、患者さんの精神的な面も大きく関係していると言われており、患者さん本人だけでなく、ご家族など周囲の方の理解も重要になります。

■手足の指の変形

関節リウマチで関節の炎症が長期間続くと、関節組織や軟骨が破壊され、筋肉が硬くなったり、腱が断裂したりして、リウマチ特有の変形が手足に起こってきます。
これらの症状は、日常生活に支障をきたすだけでなく筋力の低下も招きますので、筋力維持のために訓練が必要になってきます。

■関節リウマチの合併症

関節リウマチは、さまざまな合併症を伴ないやすい病気です。ちょっとした症状の変化を見逃さず、定期健診や検査を受け、合併症の早期発見・治療を心がけましょう。

[合併症とその症状]
・皮下結節
肘や後頭部、お尻など外から力が加わりやすい皮膚の下に、大豆ぐらいの大きさの硬いしこりが出る病気。痛みも痒みもない。

・心膜症
心臓を包む膜(心膜)に炎症が起きる病気。

・胸膜炎
肺を包む膜(胸膜)に炎症が起きる病気。

・肺線維症
肺の組織が硬くなったり、萎縮したりする病気。

・上強膜症
白目が赤く充血する病気。

・末梢神経炎
手足がしびれる病気。

・シェーグレン症候群
涙腺や唾液腺に炎症が起き、涙や唾液が出にくくなる病気。

・アミロイドーシス
アミロイドという特異な蛋白が腎臓や胃などの組織に沈着する病気。

・貧血
血液中の赤血球や血色素が減少した状態で、めまいなどを起こす病気。

原因

研究によると、リウマチには遺伝的な素因が関係しているといわれています。ただ、遺伝的素因のみで発病するのではなく、後天的な因子が加わることにより発病すると考えられています。体内に異物が侵入したときに、体は異物を排除するために「抗体」を作って防御します。これを「免疫」といいます。関節リウマチの原因は、この免疫の働きが何らかの理由で正常でなくなり、自分の体の細胞に対して攻撃してしまうことで、関節の炎症反応が強くなり、慢性化することにより起きるといわれています。

検査・診断

関節リウマチが疑われた場合、以下のような検査を行います。
また、これらの検査は、服用した薬の効果を判定するときや副作用のチェックを行うときにも実施されます。

■検査項目

☆赤血球数
酸素の運搬の役目を担う赤血球が減少すると酸欠状態になって貧血を起こします。逆に、赤血球数が増えすぎると血液が濃くなって流れにくくなり血管が詰まりやすくなります。

☆白血球数
体内に細菌などの異物が侵入したとき、白血病などのときに白血球が増加します。逆に、骨髄の働きが低下したとき、脾臓(ひぞう)の働きが高まったとき、薬剤の副作用で骨髄の機能障害が起こったときには減少します。

☆ヘモグロビン
赤血球の成分であるヘモグロビンは、減少しているときは貧血、増加しているときは多血症の疑いがあります。

☆赤沈(せきちん)
さまざまな病気で異常値を示すため、これだけでは診断はできませんが、病気のスクリーニング検査として行われます。関節リウマチでもよく行われる検査の一つです。

☆GOT(AST)
心臓、肝臓、骨格筋、腎臓などの細胞に異常があると増加する酵素です。肝臓障害、心筋梗塞、溶血などの診断の手がかりになります。

☆GPT(ALT)
肝細胞に異常があると増加する酵素です。肝臓・胆道系の病気の診断に欠かせない検査です。

☆γ-GTP
肝臓や胆道系の異常で胆汁の流れが悪くなると数値が高くなる酵素です。アルコール性肝障害の場合は著しく上昇します。

治療

関節リウマチの治療は、関節の治療だけでなく全身的な治療が必要です。現在は治療方法の進歩により、ただ痛みを抑えるだけの治療ではなく、完全に治すことはできなくても、病気の進行を食い止めてそれに近い状態(寛解)に持ち込むことができるようになっています。
治療方法は、基礎療法・薬物療法・リハビリテーション療法・手術療法の4つに分けられます。4つの治療法の中で、一番大切なのが基礎療法です。これは、患者さん自身が病気を正しく知り、安静と運動、食事など、毎日の暮らしの中で守るべきことを しっかり守って生活していく療法です。関節リウマチは1度発病したら、長く付き合っていかなければならない病気です。そのため、患者さん自身の気力、 生活の仕方がこの病気の治療の要となります。

▼基礎療法

・病気について正しい知識を得る
関節リウマチは、人により症状も病気の進行度合いも異なります。ですから、まず自分自身のリウマチの傾向を知って、どういう生活を心がければいいのかを理解することが大切です。
また、リウマチには「だるい」「疲れやすい」などの全身症状があるということを、ご家族や職場の同僚など、周囲の人々にも理解してもらうことが大切です。病気のことを知らない周りの人から、怠けていると思われてしまっては損です。

・適度な運動と安静
関節リウマチの場合、関節が痛いからといって寝てばかりいては、関節が固まってしまい、かえって日常生活に支障が出てしまいます。そのため、適度な運動を毎日することが必要です。
しかし、関節に痛みや腫れ、熱っぽさを伴う炎症があるときや、発熱や体重減少などの症状があるときは安静が大切です。こうした状態のときに無理をすると、症状が悪化してしまうことになりかねません。運動と安静のバランスを考え、医師や理学療法士に相談しながら自分の症状に合わせて行いましょう。

・規則正しくバランスのよい食生活
関節リウマチだからといって、食べてはいけないものはありません。しかし、肥満は関節の負担になりますので、 過食は避け、標準体重を維持したいものです。なお、貧血のある方は、蛋白質を多く摂るとともに、鉄分の多い食品(レバー、卵黄、ほうれん草、うなぎなど)を多く摂るよう心がけましょう。

・冷えや湿度に注意!
冷えや湿気がリウマチを悪化させる誘引になることがあります。冬の防寒は当然のことですが、夏のクーラーにも長くあたらないように気をつけ、外出時には保温用のサポーターや大判のスカーフを持って出かけることをおすすめします。
入浴は、身体を温め血液の循環をよくします。痛みも軽くなるのでリウマチの患者さんにはいいのですが、入浴後はしっかりと身体を拭き、水気を残さないようにすることが大切です。また、髪の毛もドライヤーで早めに乾かすように心がけてください。

▼薬物療法
関節リウマチの治療には、体質や病気の状態を考えて、以下のような薬が使われます。

[関節リウマチの治療に使われる代表的な薬の特徴]

非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
即効性があり、痛みがすぐに和らぎます。リウマチの発病初期から関節の変形が進んだ晩期までどの段階でも処方されます。 胃腸障害(特に胃潰瘍・十二指腸潰瘍)には注意が必要です。

抗リウマチ薬
(DMARDs)
免疫異常を抑え、外から体内に侵入するウイルス等を攻撃する作用が高まります。効果が現れるまでに時間がかかります。 胃腸障害、発疹、口内炎などの副作用があります。

免疫抑制薬
抗リウマチ薬よりも強く、免疫異常を抑える作用があります。 骨髄抑制、胃腸障害、感染、奇形、腫瘍の危険性などの副作用があります。

ステロイド薬
DMARDsの効果が現れるまで待てない病状や、DMARDsでの効果が得られなかったときに投与を検討します。 胃腸障害、満月様顔貌、にきび、肥満、月経不順、多毛、骨折、白内障などの副作用があります。

生物学的製剤
炎症を悪化させる、サイトカインと呼ばれる蛋白質の働きを抑えることで炎症を鎮めます。 肺炎、結核などの感染症や、アレルギー反応などが起きる場合があります。

▼リハビリテーション療法

関節リウマチを発病したら、初期の段階からリハビリテーションを行います。病気の性質上、日常生活の動作に支障をきたしやすいため、それを予防することが目的の一つです。 関節リウマチの患者さんに行うリハビリテーションの指導は、「日常生活の指導」と「訓練の指導」の2つに分けられます。

・日常生活の指導
日常生活全般にわたって、全身及び各関節にかかる負担を軽減し、無駄な動作を極力避けるような生活を送るよう指導します。症状の重症度に関わりなく行います。生活パターンや生活環境の改善、および関節を保護する動作の指導などがあります。

・訓練の指導
日常の生活動作を高めるため、障害となっている関節の運動性を改善する目的で行います。どのようなメニューで行うかは、個人によって異なってきますので、専門医の指導により行うことが必要です。
全ての患者さんに共通していることは、調子が良い日も悪い日も、痛みや腫れの強い日は回数を少なめにし、自分の力でできる範囲の運動を行うことです。

▼手術療法
上記の治療を行っても症状の改善が認められない場合には、最終手段として手術を行います。手術をして痛みがなくなったり動けるようになると、活動範囲が広がり、手術前より積極的な生活をしたり、物事を前向きに考えられるようになります。
ただし、手術にはメリットもあればデメリットもあります。医師は患者さんの年齢、体力、どこまでの回復を望んでいるのかなど総合的に判断して適切な手術を選択します。

[手術の種類]

滑膜切除術
薬物による保存療法が無効で、長期間にわたって痛みが持続している場合に行う手術です。滑膜を取り除けば、痛みや腫れも治まり、自立した日常生活を過ごせるようになる場合もありますが、膝や股など体重のかかる部位の関節に関しては再発することもあります。

関節固定術
壊れた関節を一つの骨にしてしまうときに行う手術です。指や手首、足首など固まって動かなくても支障が比較的少ない関節に対して行います。動かなくなるため、痛みが全くなくなり安定感もありますが、不便さはまぬがれません。

人工関節手術
壊れてしまった関節の機能を再建するための手術です。膝や股関節の手術が多く行われます。この手術をしてもすぐに正常な関節に戻るわけではなく、しっかりとリハビリテーションを行うことが必要です。また、人工関節の寿命は約20年といわれています。

腱形成術
手の指の腱が切断してしまったときに行う手術です。小指側から切れることが多く、握る動作や顔を洗う動作ができなくなるため、腱をつなぎ合わせる手術を行います。

※治療に当たっては、必ず専門医にご相談ください。