どんな病気?

以前は「不安神経症」と呼ばれていた病気です。
過剰な心配や、理由のない不安が半年以上続いていて、日常生活に大きく支障をきたしている状態をいいます。

■主な症状

全般性不安障害の人が訴える症状は、主に次のようなものですが、不安や心配が高じると、心や身体にとても悪い影響を及ぼすことが分かります。

■身体症状
・めまい感、頭がゆれる感じ、船酔している感じ
・頭痛、頭重、頭の圧迫感や緊張感、しびれ感
・自分の身体ではないような感じ
・そわそわ感
・もうろうとする感じ
・身体の悪寒や熱感、手足の冷えや熱感
・全身に脈拍を感じる
・頻尿や便秘

■精神症状
・根気がなく疲れやすい
・イライラして怒りっぽい
・悲観的になり、人に会うのが煩わしい
・ささいなことが気になり、とりこし苦労が多い
・注意散漫な感じ
・記憶力が悪くなる感じ
・寝つきが悪く、途中で目が覚めやすい

原因

全般性不安障害の患者さんの男女比は、1:2と女性の方が、男性の倍も多いことが分かっています。
また、20歳前後で発症することが多いようです。
原因ですが、明確には分かっていませんが、ストレスや生まれ持った性格、遺伝、育った環境などが影響しているのではないかと考えられています。
全般性不安障害の人が不安や心配に思うことは、特定のことに限らず、「家庭」「仕事」「学校」「近所づきあい」「地震などの天災」「戦争」など、あらゆるものが対象となります。
自分ではどうすることもできない事柄についても過剰に悩み、不安や心配が制御できなくなり、心や体の状態を崩してしまうのです。そうなると、もはや普通の日常生活を送ることは困難です。
アメリカでの調査によると、一生の間に全般性不安障害にかかる人は3~5%、また、不安を専門に診るクリニックでは、全体の30%ほどが全般性不安障害と診断されるそうです。

検査・診断

全般性不安障害の診断基準には、米国精神医学会編「DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引」が主に使われます。
その基準の要点をまとめると、以下のようになります。

①仕事や学業などの多数の出来事または活動について、過剰な不安と心配がある。しかし、その原因は特定されたものではない。
②不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない日よりある日のほうが多い。
③不安や心配をコントロールすることが難しいと感じている。
④不安や心配は、次の症状のうち3つ以上の症状を伴う。

・落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
・疲れやすい
・集中できない、心が空白になってしまう
・刺激に対して過敏に反応してしまう
・頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
・眠れない又は熟睡した感じがない

全般性不安障害であるかどうかを診断する場合、上記の診断基準が使われますが、患者さんに出ている症状が他の病気(身体の病気、全般性不安障害以外の不安障害やうつ病などの精神科領域の病気)によるものではないことを確認することもたいへん重要です。

治療

全般性不安障害は、まだ名前が一般的に浸透していない病気です。「何かおかしいな」と病院に行っても、更年期障や自律神経失調症と診断されて、全般性不安障害の治療がなされていない場合もあります。
全般性不安障害は、一度発病すると、パニック障害や社会不安障害、うつ病など、他の精神科領域の病気を併発する可能性が高くなります。
全般性不安障害の症状が現れていると感じる人は、なるべく早い段階で、心療内科や精神科などの専門医に相談することをおすすめします。

全般性不安障害(GAD)の治療

全般性不安障害の治療法は、まず、薬を使って不安感を軽くします。その上で、精神療法により、患者さん自身が不安をコントロールできるように導きます。

■薬物療法
日本では、全般性不安障害の薬として国から承認されているものは、残念ながらまだありません。現在、治験(国から薬として承認を受けるための臨床試験のこと)が行われています。

■精神療法
精神療法には、カウンセリング、認知行動療法、セルフコントロール法などがあります。いずれも無意識の中に存在する「不安の根源」を探し出し、そのコントロールをめざすものです。
患者さんの生育歴や性格が発病に深く関わっていると考えられる場合は、とても大切な治療法となります。また、精神療法では主治医との相性や患者さん自身の努力が、治療の効果を大きく左右します。

全般性不安障害(GAD)の人への対応

全般性不安障害の人の訴えに対し、家族や周囲の人は、つい「気にし過ぎだよ」「心配性だね」と軽く受け流してしまいがちですが、本人は「誰も分かってくれない」と、ますますストレスを感じるだけです。本人の不安や心配が心や体に大きな影響を与えることを理解して、訴えに耳を傾け、安心して話ができる環境を作ってあげたいものです。
不安や心配が過剰になり、いつまでも続くようなら、一度専門医を受診することをすすめてみましょう。