どんな病気?

社会不安障害(Social Anxiety Disorder:SAD)とは人前で何かを発表するなどの特定の場面に対して強い不安を感じる病気です。

例えば、
1. 会議などで意見を言ったり、発表したりする
2. 人前で電話をかける
3. 権威のある人やよく知らない人と話をする
4. 大勢の人の前で話したり、歌を歌ったりする
5. 趣味のサークル、PTA、ゼミ等のグループ活動に参加する
6. レストランや居酒屋、喫茶店で飲食をする
7. 人前で仕事をしたり字を書いたりする
8. 会議やゼミ等、他の人たちがいる部屋に入る
9. 人と目を合わせる
10. 来客を迎える
11. 自分を紹介される
などの状況に自分が置かれた場合やそのような状況に自分が置かれると想像すると、「緊張」「不安」を感じ、生活や仕事に支障をきたしてしまいます。

社会不安障害(SAD)の症状
強い不安を感じると具体的には次のような症状が現れます。
・手足が震える
・息が苦しくなる
・動悸がする
・大量の汗をかく
・顔が赤くなる
・声が出なくなる
・頻繁にトイレに行きたくなる など

原因

以前はとても稀な病気であるとの認識があったSADですが、海外では全人口の10~15%の人が罹患しているという大規模な調査報告もあり、今は稀な病気という認識ではなくなってきています。
はっきりとした原因はまだわかっていません。幾つかの要素が複雑に絡み合って発症するのだろうと考えられています。
SADを発症する原因とされるものには次のような要素があります。

1. 性格 
2. 遺伝 
3. 生育環境 
4. マイナス経験
5. 年齢

社会不安障害を発症する方に共通する性格として、心配性である、緊張しやすい性格などがあります。
ある特定の遺伝子が性格と関連するという研究結果もありますが遺伝的な要素はそれほどではないと考えられています。
また、幼少期からの生育環境は性格形成に大きな影響があることがわかっています。SADを発症した方の特徴として、人前で失敗したり、学生時代のいじめなどにより人目を過剰に意識したり、自分に自信が持てない、劣等感が強いなどというものがあります。発症年齢が低く、10代半ばから20代前半に多いことも特徴のひとつです。

検査・診断

SADは「強い不安」を感じる頻度により3つのタイプに分類されます。
A. 全般型 ほとんど全ての社会的状況において強い不安を感じる。
B. 2か3つの社会的状況において強い不安を感じる。
C. ある1つの社会的状況において強い不安を感じる。

SADの診断はアメリカ精神医学会のマニュアルDSM-IVやWHOのICD-10など幾つかの診断基準があります。

例えば、
1. よく知らない人との交流や他人の注目を浴びるという状況においてはっきりとした不安や恐れがあり、かつ持続的に恐怖を感じる。
2. 恐れている社会的状況にさらされるとほぼいつも不安を感じる。
3. 自分の恐怖が過剰であり、不合理であるということに気づいている。
4. 社会生活が不安や回避行動、苦痛により支障をきたす。もしくはその恐怖のために激しく悩む。
5. 18歳以下の場合、症状が出始めてから6か月以上続いている。

治療

多くの場合、SADの方に対する一般的な理解度は低く、治療に至らない方が多いとされています。また、海外で行われた調査では、SADの患者さんのうち「自分がSADであると認識して受診した」人は調査全体の3%ほどしかいませんでした。日本でもSADという名称や症状についての認知度は低く、原因は「自分の性格のせい」だと思って病院に行かないという方が多いようです。
SADは発病するとうつやパニック障害、アルコール中毒など、他の精神疾患を併発してしまう割合が70%以上に上ると言われており、症状に気づいたら早めに精神科、心療内科といった専門医を訪れることが大切です。

治療法は?
薬物療法と認知行動療法の2つがあります。

薬物療法 
現在の治療薬は1つのみです。 一般名 フルボキサミン
SADは脳内のセロトニン神経系とドーパミン神経系の機能障害により発症するのではないかと考えられています。海外の研究ではすでに治療薬が幾つかありますが、日本では薬物療法による治療薬は一つしかありません。現在はSAD用の治療薬の承認を受けるために臨床試験が行われています。

認知行動療法

薬物療法と比べ、歴史の長い治療法です。精神療法の中でも重要な位置を占めていますが、まだ日本ではあまり知られていません。

方法と内容

◎エクスポージャー(体験活動)
・不安症状を引き起こす場面や状況を擬似的に作り、不安症状が治まるまで十分な時間をその状況下で過ごすということを繰り返す。幾つか種類があります。
◎ソーシャルスキルトレーニング(社会技術訓練)
・実際に社交的な場面で、どのように人と接するのかを練習します。(視線の位置、話し方など)
◎不安対処訓練
・不安症状が起きてしまった場合にどう対処するかを学びます。
(リラクゼーション、呼吸法など)
◎認知修正法
・自分の考え方や思い込みのクセを確認し、認知の歪みを修正していきます。

●必ず専門医の指導を受けて行ってください。