どんな病気?

喘息は、慢性的に気管支に炎症が起きた状態で、咳や痰(たん)が出たり、呼吸が苦しくなる病気です。長年、喘息は発作の時だけ気管支に変化が起きているものと考えられてきましたが、現在では、実は慢性的な気管支の炎症であることが分かっています。

場合によっては命に関わることも…
厚生労働省の調査によると、喘息(ぜんそく)の患者数は全国でおよそ89万人(平成20年調べ)。そのうち、なんと約2千人の方が喘息(ぜんそく)により死亡しています。若い人、症状の比較的軽い人でも亡くなるケースがあり、決して「たかが喘息」とあなどってはいけません。
一方で、喘息の治療は近年目覚しく進歩しています。適切な治療を行えば、喘息をコントロールし、健康な人と変わらない生活ができることを理解しましょう。

原因

喘息では、のどが「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と鳴る場合がありますが、それはアレルギー反応との関係により起こると考えられています。

・免疫って何?
体の中にもともとあるものと、そうでないものを区別して、異物が体内に侵入してきたときに、これを識別・排除しようとする仕組みを「免疫」といいます。

・アレルギー体質とは?
一度体内に侵入してきた異物に、2度と悪さをさせないようにするのが免疫の役割です。しかし、中にはこのシステムが過剰に働いてしまう体質の人がいます。そういう人を「アレルギー体質」と呼びます。

・アレルギー反応とは?
通常は免疫システムの攻撃対象にならないはずのダニや花粉、ペットの毛、ハウスダストなども攻撃対象ととらえ、免疫システムが働いてしまう人がいます。そのように免疫が過剰に反応することをアレルギー反応といい、そのような反応を引き起こす物質を「アレルゲン」と呼びます。

喘息(ぜんそく)のタイプは2つ

喘息にはアレルゲンを特定できる「アトピー型喘息」と、アレルゲンを特定できない「非アトピー型喘息」の2つがあります。
両タイプとも、症状と治療方法は同じです。

[喘息のタイプ]
☆アトピー型喘息(アレルギー性喘息)
・アレルゲン…ダニ、花粉、ハウスダスト、動物の毛など。
・小児喘息の患者に多い。

☆非アトピー型喘息(非アレルギー性喘息)
・アレルゲン…タバコの煙、香水、風邪などのウイルス、気温や湿度の急激な変化など。
・成人喘息の患者に多い。

検査・診断

喘息かどうかの診断は、主に問診が中心となります。喘息の典型的な症状の有無、患者本人や家族の病歴なども詳しく質問されます。
さらに以下のような検査を行う場合もあります。

  • 呼吸機能検査(ピークフロー値、肺活量など)
  • 胸部レントゲン
  • 血液検査
  • アレルゲン皮膚試験
  • 気道過敏性検査

ピークフロー値とは?

ピークフローメーター(最大呼気流量計)という、気管支の広がり具合を調べる器具があります。その器具で測定した値のことを「ピークフロー値(最大呼気量)」といいます。
ピークフロー値は、気管支が狭くなるほど下がります。ピークフロー値により、客観的に気管支の状態を知ることができるだけでなく、薬の効き具合を確認することができます。

治療

以前は対症療法が中心だった喘息治療ですが、現在は気管支の慢性的炎症に対しての予防的治療に重点が置かれています。
喘息の方は発作が出ないときでも気管支に炎症が起きているため、日常的に炎症を防ぐことが大切です。
治療法は大きく分けて2つあります。

■喘息(ぜんそく)発作の原因を遠ざける

☆アレルギー対策
代表的アレルゲンにダニがあります。ダニは高温多湿を好み、特に6月~10月頃は注意が必要です。

[ダニの予防法]
・風通しをよくして湿気が溜まらないようにする。
・じゅうたんや毛布、羽毛布団をできるだけ使わない。
・掃除をこまめに行い、週1回は布団にも掃除機をかける。
・花粉の時期には外出時にマスクをつける。
・ペットを室内で飼うのを避ける。

☆ウイルス感染の防止
かぜなどのウイルスに感染すると、喘息の発作が起こりやすくなります。外から帰ったらうがいをしましょう。咳だけが1週間以上続くときは、病院で診てもらいましょう。

☆運動誘発喘息の防止
走ったり運動すると起こる喘息を運動誘発喘息といいます。しかし、医師の指導のもと、薬などで適切な治療を続ければ、運動しても発作は起こりにくくなります。有名なスポーツ選手にも、喘息をうまくコントロールしながら運動を続けてきた人がいます。

☆禁酒
アルコールが原因で発作を起こす人がいます。アルコールが体内で変化して作られるアセトアルデヒドという物質が、気管支を狭くするためと考えられます。アルコールは、基本的には飲まない方がよいと言えるでしょう。

☆禁煙
タバコは、喘息に限らず気管支や肺に病気を持つ人には禁物です。焚き火や花火の煙も、できるだけ避けた方がよいでしょう。

☆アスピリン喘息の防止
アスピリンをはじめとする鎮痛解熱剤を使うと発作を起こす人がいます。これをアスピリン喘息といい、喘息患者のおよそ10%があてはまるといわれています。
アスピリン喘息と診断された場合は、主治医が処方した薬以外は絶対に飲んではいけません。また、高血圧や心臓病の薬にも喘息を誘発するものがあるので、かかりつけ以外の医療機関を受診する場合、喘息持ちであることを必ず伝える必要があります。

☆その他
身体的・精神的疲労や、大気汚染、強い匂い、天候の急変(特に急に寒くなるとき)には特に気をつけてください。

■薬による治療
喘息は慢性疾患であり、厳密に言うと完治しないと病気といわれています。
しかし、適切な治療により症状をコントロールすることができ、健康な人と変わらない日常を過ごすことができます。
特に注意が必要なのは、「喘息が治った」と自分で判断し、勝手に薬を飲むのをやめてしまうことです。
発病初期の治療が不十分だと、その後の経過にも悪影響があります。医師の指示通りに薬を飲むことが、最大の喘息治療のポイントです。

[主な長期管理薬]
・吸入ステロイド薬
喘息治療の第1選択薬です。抗炎症作用が強く、予防的治療のメインとなります。発作時には、経口ステロイド薬を使用します。

・長時間作用性β2刺激薬
吸入ステロイド薬と一緒に使用します。気管支を拡張する作用があります。吸入薬、内服薬、貼り薬があります。

・吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤
上記の吸入ステロイド薬と、長時間作用性β2刺激薬を配合したものです。別々に薬を使うより効果が高いといわれています。

・ロイコトリエン受容体拮抗薬
アレルギーに関係するロイコトリエンという物質が働くのを妨げ、気管支を広げて気道の炎症を抑える働きがあります。
通常は吸入ステロイド薬と併用します。

・テオフィリン除放製剤
気管支を広げて気道の炎症を抑える働きがある薬です。
血中濃度が高くなると中毒症状が出ることがあるので、正しく服用することが重要です。

・拮IgE抗体
IgE抗体という物質の働きを抑える薬で、病院で注射します。重度の喘息に使用されます。

・抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬を除く)
アレルギー反応を抑える薬です。ヒスタミンH1拮抗薬Th2サイトカイン阻害薬など、数種類の薬があります。

※出典:「喘息予防・管理ガイドライン2009」より
治療にあたっては、必ず専門医にご相談ください。