どんな病気?

男性によく見られる病気です。年齢に比例して発症が多くなるのも特徴で、40代、50代くらいから始まり、60歳を過ぎたあたりからおよそ半数の人が夜間の頻尿や放尿力の低下を自覚、65歳くらいになると治療を開始する方が多くなります。高齢になると6~8割の方がかかる病気であり、男性の更年期症状や老化現象の一部であるとも考えられています。
前立腺はクルミほどの大きさのもので膀胱の下に位置しています。中を尿道が通っている器官のため、この前立腺が肥大することで尿道が圧迫され排尿障害を起こします。

前立腺肥大症は症状の程度によって3つの段階があります。

第一段階 尿の出が悪い、尿の勢いがない、少ししか出ない、時間がかかる、夜間のトイレの回数が多くなるなどの症状が出てくる

第二段階 尿をした後もスッキリとしない。残尿感があるという症状が出る

第三段階 昼夜を問わずトイレに行く回数が増える。排尿にかかる時間が長くなり、一回の排尿に数分かかる。時には尿が全く出なくなってしまうこともある。

原因

前立腺が肥大する原因はまだはっきりとわかっていませんが、男性ホルモンの働きが関与していることは間違いありません。
加齢により、男性ホルモンを含む性ホルモンの変化により、前立腺が肥大すると考えられています。

検査・診断

男性であれば高い確率でなる可能性があります。50歳を過ぎて尿の出が悪いと感じたらなるべく早く泌尿器科を受診しましょう。

一般的な検査項目は、問診、尿流量測定、直腸診、超音波診断、血液検査(腫瘍マーカー検査。前立腺がんとの鑑別のために行う)

また、前立腺肥大症の重症度を確認する質問表のチェックをします。7点以下は軽症、20点以上は重症とされています。

前立腺肥大症の治療

前立腺肥大症には主に薬物が使用されます。主なものは、
1. α1-ブロッカー(機能的閉塞を解除する)
2. 抗アンドロゲン剤(機能的閉塞を解除する)
3. 漢方薬、生薬による不安定膀胱(頻尿、尿意切迫、切迫性尿失禁)の改善

第一選択薬はα1-ブロッカーですが、このお薬は高血圧の治療にも使用されることがあるため、高血圧の治療を行っている方は必ず問診の際にその旨を医師に伝えることが大切です。

治療

1. α1-ブロッカー 排尿時に膀胱頸部が開くのを助け尿の勢いを増します。蓄尿時には膀胱の過活動を抑制し、頻尿を軽減させます。副作用としては血圧が下がることによるめまいやふらつきなどがあります。
2. 抗アンドロゲン剤 前立腺を縮小させ前立腺腫による閉塞を改善させます。副作用としては肝機能障害、性機能障害、女性化乳房などがあります。
3. 生薬、漢方薬 排尿困難、頻尿、尿意切迫、残尿感などの自覚症状の改善。副作用はほどんどない。

手術

手術による治療法は薬物療法で思うような改善が見られない場合や残尿が100ml以上あり、尿閉を繰り返すなどの場合に行われます。

手術法
a. 前立腺切除(TURP)内視鏡につけた電気メスで患部を尿道内から削り取る。
b. レーザー 内視鏡からレーザー光線を患部に照射し、肥大結節を焼いて縮小させる。
c. 温熱療法 尿道や直腸からカテーテルを挿入し、RF波やマイクロ波を前立腺に当てて患部を加熱し肥大を小さくして尿道を開かせる。
d. 尿道バルーン拡張法、尿道ステント挿入法 狭くなった前立腺部の尿道を物理的な力によって広げたり、管を通したりして尿道を確保する。救急的な対処療法であり、手術ができない方のための処置。

予防

加齢が最大の原因であるため、完全な予防策はありませんが、生活習慣を見直し、体に負担をかけないようにすることが大切です。

例えば…
● おしっこを我慢しない
● 体を冷やさないようにする。特に下半身の血液の循環を良い状態に保つ。
● 便秘をしないようにする。
● 適度な運動で血液の循環を良くし、前立腺がうっ血しないようにする。

すでに前立腺肥大症である場合は次の項目も加える。

●薬に注意する。病院で診療を受ける際は必ず前立腺肥大症であることを医師に伝える。(薬によっては急な尿閉を起こすものがあります)
●水分を十分にとる。頻尿を気にして水分の摂取が足りなくなると脱水状態になり、腎機能障害を起こすこともある。
●過度なセックスは控える。
●手術後は水分を多めにとり、こまめに排尿する。手術した部分を圧迫するような運動は避け、安静にする。

☆治療の際は必ず泌尿器科でご相談ください。