どんな病気?

肛門に張り巡らされている静脈がうっ血して、いぼ状に膨らんでできるもの。便秘で長時間トイレに座ったり、無理にいきむ習慣があると、お尻の血行が悪くなり、細い血管の一部に血がたまって、いぼ痔になりやすい。出産後やスポーツでいきんだあとに起こることもある。いぼができる場所によって2つのタイプがあり、肛門の歯状線(直腸と肛門の境目)より上の直腸にできたものを「内痔核」、下の肛門にできたものを「外痔核」と呼ぶ。
内痔核は最初は無症状だが、いぼが大きくなってくると排便のときに便がいぼをこすって出血する。比較的多量な血が出るが痛みはない。外痔核は、強くいきんだときや、お酒を飲みすぎたあとなどに肛門付近に一瞬にしてできる血豆のようなもの。腫れてひどく痛む。
放置すると大きくなり、排便するときに出血し、いぼが肛門の外に脱出するようになる。最初のうちは自然に元に戻るが、進行するといぼが肛門内に戻らなくなって(脱肛)、出血や痛みがひどくなっていくので、早めの治療が大切。肛門からの出血は大腸がんの症状とも似ているため、自分で痔と決め付けずに、早めに医療機関を受診したほうがよい。

検査・診断

受診は大腸・肛門科へ。問診で症状や便秘があるかどうかなどの質問に答えたあと、直腸指診(肛門に指を挿入して診察する)を受ける。この間、シムスの体位(横向きに寝て、軽く両足を曲げた状態)をとり、ショーツを少し下げる。医師が人指し指に麻酔薬のゼリーをつけて挿入するため、リラックスして受ければ痛まなくてすむ。次に、肛門鏡検査で、7㎝ほどの長さの肛門鏡を、指診と同じように肛門に挿入し、肛門から直腸の下部までを診察すると、いぼ痔の状態が肉眼でチェックできる。
なお、大腸がん、大腸ポリープなど他の病気が疑われる場合には、後日、内視鏡検査を行う。

治療

出血や腫れ、痛みがある場合は、まず坐薬、軟膏、飲み薬で症状をなくす。外痔核はひどく痛んでも何日かで治まり、2~3週間で自然に治るが、痛みが我慢できない場合には、局所麻酔で切開し、血豆を取り除くと解消される。内痔核は進行の程度によって、Ⅰ度からⅣ度までに分類され、Ⅰ、Ⅱ度は対症療法と生活改善(線維の多い食事、適度な運動など)で便通を整えると改善されることが多い。Ⅲ、Ⅳ度まで進行すると手術が勧められる。
内痔核からの出血が止まらない場合には、硬化剤を注射する「硬化療法」、内痔核が肛門の外に飛び出す場合には、痔核の根元に輪ゴムをかけて脱落させる「ゴム輪結さつ療法」脱肛のある人や内痔核が重症化して外痔核をともなって肛門から脱出してくる場合には、いぼ痔の原因になる血管の根元を輪ゴムでしばって切除する「結さつ切除術」が主に行われる。まだ普及していないが、軽い内痔核には、ホチキスのような器械を使った新しい手術法(PPH)や、半導体レーザーを使って痔核をしぼませる方法もある。
入院期間は重症度や手術方法によっても異なるが、長くても1週間程度。日帰りで行うこともある。