非ホジキンリンパ腫を対象としたリン酸フルダラビンとブスルファンによる前処置の安全性・有効性の検討
対象疾患の詳細説明
非ホジキンリンパ腫はリンパ組織のがんであるため、特殊なタイプを除いて外科的治療は有効ではありません。標準的な治療法は、抗がん剤を用いた薬物療法、放射線療法、或いはその組み合わせです。医学の進歩により、多くの非ホジキンリンパ腫の患者さんが、このような治療により腫瘍が消失したり縮小したりするようになり、治癒或いは延命が期待できるようになりました。
このように薬物療法や放射線療法は、非ホジキンリンパ腫に対する極めて有望な治療法ですが、一部の患者さんには最初から効かない、或いは再発するといったことがあります。このような状態の患者さんの治療は難しいことが多く、現時点ではどのような治療法がいいかはっきりしませんが、抗がん剤の投与量を増やすことにより、一部の患者さんでは病変が改善することがわかっています。
また、大量の抗がん剤を用いれば骨髄機能が低下するため、抗がん剤投与前にあらかじめ自分の骨髄、或いは造血幹細胞を採取しておいて、抗がん剤投与後に患者さんにもどす方法も開発されています。このような治療法を「自家造血幹細胞移植」といいます。この治療法は、一部の難治性の非ホジキンリンパ腫に有効であることがわかっていますが、この方法で治らない患者さんも多数存在します。あらかじめ採取しておいた造血幹細胞に腫瘍細胞が混ざっていたり、或いは大量の抗がん剤によっても患者さんの体内の腫瘍を完全になくすことができなかったりするからです。
このような難治性の患者さんにたいしては、HLAが適合した(白血球の型が一致した)ドナー(この治療法では、造血幹細胞を患者さんに提供してくれる人)からの造血幹細胞移植が有効であると考えられています。このような移植を「同種造血幹細胞移植」と呼びます。この「同種造血幹細胞移植」は、患者さんに対し、1〜2週間かけて大量の抗がん剤を投与(大量化学療法)し、更に病状により全身に放射線を照射し、病気を持ったがん細胞を含む全ての血液を造る細胞(造血細胞)を破壊した後に、患者さんとHLAが適合した健康なドナーの造血幹細胞を輸注することにより、患者さんの体のなかでドナー由来の健康な血液の回復を促す治療法です。この治療法はその特徴から、骨髄破壊的移植とも呼ばれます。この方法は、非ホジキンリンパ腫に対する抗腫瘍効果がもっとも強いと考えられていますが、他人の造血幹細胞を生着させるためには大量の抗がん剤と放射線をあらかじめ投与しておく必要があり、副作用が非常に強く出ることが問題となっています。特に患者さんの年齢が50歳を超える場合や臓器障害をお持ちの場合には、この方法で移植術を行うと合併症の頻度と重症度がはるかに強くなり、治療成績が著しく低下するため、これまで同種造血幹細胞移植は血液疾患を持つ若い患者さんのみを対象に行われてきました。
このような患者さんに対し、同種造血幹細胞移植の機会を提供することが出来るかもしれないと期待されているのが、本試験で行う「ミニ移植」(=骨髄非破壊的移植)です。
